ドイツで起業するまで その⑤ ~準備中のトラブル、大変だったことなど~

 

私の場合、
起業準備で特に大変だったのは自分でもちょっと意外でしたが、
社名を決めることと、
銀行口座開設の二つでした。

 

 

生みの苦しみ・社名アイディア

 

やはり社名は肝心かなめの一番大切なこと、
と思えば思うほどプレッシャーがかかり、
なかなかいい案が浮かんできません。
ドイツ人にすぐ日本と結び付けてもらえて、
発音も耳になじむもの。
起業アドバイザーも夫も
私の提案になかなか首を縦に振らず、
日本人が思うものとドイツ人とのそれとは
かなり隔たりがあることがよくわかり、
それでさらに混迷・・・。

起業アドバイザーは自分でもいくつか事業を立ち上げており、
その一つの企業には日本語で社名をつけていましたが、
日本人でもめったに耳にしない言葉を使用しており、
私の頭の中は正直「???」状態でした。

さらにドメイン名がまだ取得されていないもの、
という条件が加わります。
実際いくつか社名の候補を挙げて、
既にドメインが取得されているかわかるサイトで検索してみると
日本語の言葉でもアルファベットでもう登録されていたりします。
私が一番使いたかった社名も
残念ながら既に登録されてしまっていました。
所有者にドメイン名を売ってもらえないか
メールしてみましたが
、返信なしであきらめました。
逆に起業後数回、
日本語のドメイン購入に興味がないか、
というメールが来てましたね。

結局上記の条件を満たすものとして
消去法で選ばれたのが今の社名です。
しばらくは半信半疑な感じでしたが、
今ではしっくりきています。
命名の由来も自分のオンラインショップに記載してあり、
ドイツ語でもしっくりと理解できる内容となっています。

 

 

ゴールが見えない銀行口座開設

 

もう一つは銀行口座開設。
私が外国人でなければ、
また銀行が家の近くにあれば全く問題なかったのですが、
悪い条件が重なってしまい
自分がもうどこにも所属していない、
日本の大企業に勤めているなんていう
後ろ盾も持たないただの外国人のおばちゃん
であることを痛感した出来事の一つでした。

逆のこの一件で、
何事も必ずいつか終わりは来る、
そして気にしすぎず、
いじけすぎず、
まずはやれることをやってみる、
ということを学んだのでした。

銀行を開設する際には本人証明が必要だったのですが、
銀行の所在地が自宅からはかなり遠かったので、
次のオプションとして
郵便局でできるということで行ってみたのですが、
なぜか日本のパスポートはスキャンしたときにエラーがでてしまい、
念のため別の郵便局にも行ってみたのですがダメでした・・・。

次に郵便局の専用サイトできるということで、
ビデオチャット形式の本人証明に挑みました。
もうですね、
これがイライラ、
イジイジマックスになる要因だったんです!!!

結論から言うと
このためにまるまる2日以上は
時間を費やすことになりました・・・。

まずチャットができるまで何人待ちかが表示され、
スマホとにらめっこしながら順番を待ちます。
またドイツ語と英語と確かトルコ語が選択できます。
ドイツ語の方が順番待ちが少なかったので、
ドイツ語を選んで待ちました
(結構待たされました)。

現れたのは50代ぐらいのドイツ人のおばさま。
途中までは調子よかったのですが、
日本のパスポートがやはり問題で、
おばさまがパスポートの写真を撮ろうとするのですが、
偽造パスポート防止のための背景にあるきらきらした模様たちが
反射して邪魔して上手く撮影できないようで、
だんだんおばさまはイライラしていきます・・・。

ちょっと斜めにしてみて、
いやいや、やりすぎよ、
などあれこれと注文を受けましたがそれでもダメなようで、
「このパスポートはちゃんと撮影できないから、
銀行の支店に直接行ってちょーだい!」
と半ギレ状態で言われてしまいました。

私もすかさず、「支店は遠すぎで行けないのでなんとかしてくだ・・・。」
まで言ったところでおばさますかさず
「トニカクムリダカラ~、ヨイイチニチヲ、サヨウナラー」
と、ビデオチャットがつんと切断。
その後DHLでもこの仕打ちを受けましたがしばらく後遺症が残りますね。
日本ではまずありえないことですから。

支店に直接行くのは遠いのでとにかく避けたいところ。
もう一度また最初からチャレンジしてみましたが、
次のおばさまにも支店に行くように言われてしまい、
どうしたものかと考えて、
次は英語でのビデオチャットを試してみました。

そこで現れたのが我が救世主、アントニオ!
おそらくラテンの国出身と思われ、
明るい対応にすぐ心が癒されました。

まず「あなた今日だけでも、もう何度もトライしてるけど、どうしたの~?」
と心配してくれ、
親切かつさくさくと手続きを進めてくれ、
パスポートの撮影も問題なくクリア。
あのおばさまたちの怒りはなんだったのでしょうか・・・。
ネイティブじゃない同士のほうが気楽だし、
私の敵、おばさまにあたる確率も低そうなので、
最初から英語にすればよかったです。

が!!!

ここでいきなりネット接続の調子が悪くなり、
先に進まなくなってしまいました。
アントニオにまた最初から
(順番待ちから!)
全部やりなおしと言われてしまい、
どれだけ呪われてるんでしょうか、私。
再チャレンジしたら必ずしもまた
アントニオが担当できるわけではなく、
すかさず今日の英語担当者は何人なのか聞くと、5人とのこと。

5分の1の確率かあ・・・。

ここでタイムアウト。
こどもの学校のイベントに参加しなくてはならず、
心ここにあらずでLaternenfestの歌を歌ってました。

た、たのしくない、全く。

仕事帰りの夫が途中参加してきたので、
お願いして先に家に帰り、
再度英語でチャレンジ。

神様っているんですね~。
そこに現れたのは再びアントニオ!!!
5分の1の確率的中です。
彼もビックリしてました。
「ぼく今丁度休憩から戻ってきたところなんだよ~。今まで何時間も何やってたの?」
から
「もう途中までできてたから早く最後まで終わらせちゃおうね。」
となり、
前回よりさらにスピードアップで
無事最後まで手続きを終了することができました。
学校のイベント、途中で抜けて正解でした。

銀行口座開設はその後もまだトラブルが続き、
予定の2週間がたっても口座開設の連絡がないので電話をしたところ、
パスポートのサインが漢字で書かれていたため承認が下りず、
アルファベットでのサインを送ってほしいとのこと。

こっちが連絡しないとそのままほったらかしです・・・。

口座開設一つでこんなにも労力を使い、
精神を削られてしまって、
この先がとっても不安になりましたが、
今思うといじけている時にはアントニオしかり、
支援金延長承認しかり、
何かいいことがあって救われてきたように思います。

 

 

厳しい現実もあるドイツde自営業

 

調べたところ日本もドイツも
自営業者数にあまり違いはないようです。
日本での経験がないので残念ながら比較できませんが、
ドイツは社会福祉がしっかりしている分、
サポートは手厚いですが、
高い税金、保険も自分で支払った残りが
やっと自分の収入になることを十分に考えなければなりません。
この点については労働局でも何回も忠告されました。

こんな紆余曲折があって、やっと準備完了。

 

次回は自営業がスタートしてからのお話です。

 

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