ドイツでの就職について その④ 入社時に必要な10の提出書類&情報と契約書チェック

ドイツでの就職について その④ 入社時に必要な10の提出書類&情報と契約書チェック

今回はがんばった就職活動が実を結び、
さあ契約!となった場合に気を付けること、
会社に提出する書類及び情報について書いていきます。

 

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契約書チェックと条件交渉

 

通常、

履歴書提出→面接→契約書・労働条件の確認→契約→勤務スタート

という流れになっていきます。

契約時にはサインをする前に契約書をしっかり読んで
(通常前もって送付されてきます)、
給与等の条件確認・交渉をしっかりしましょう。

ドイツ語に自信がない方は、
就職・転職のことがある程度分かっているドイツ人に契約書を見てもらい、
内容に問題がないか、
通常とは異なる条件等がないかどうか確認してもらいましょう。

日本では採用時に被雇用者のほうから労働条件の変更を依頼したり、
交渉することはあまりないと思いますが、
ドイツでは特に給与に関しては前職での金額に沿って
なるべく希望の金額になるよう遠慮せず可能な限りしっかり交渉します。

必ずと言っていいほど交渉するケースが非常に多いです。

前にも書きましたが私はドイツで最初の就職時の面談でまだ何もわかっておらず、
「給料はいくらでもいいので、ぜひ働かせてください!がんばります!」
とやる気を見せるために言ってしまったのですが、
家に帰ってから夫に、
「それ、一番言っちゃいけないセリフだよ・・・。」
と怒られしまいました。

また、例えば面接時には聞いていなかったけれど、
契約書に転勤の可能性があると記載されていた場合、
それを削除してもらうようお願いすることもできます。
ドイツで初めて就職する場合、

労働規約、 勤務形態等日本と異なることがいろいろとあるので、
わからないことがあれば担当者の方にしっかり確認をとりましょう。

 

 

就職先に提出する書類と情報

 

また入社時には基本下記の10の書類と情報を提出する必要があります。

 

 

パスポートコピー/パスポート番号及び期限(Passkopie)

 

(所持している場合は身分証明書のコピー / Personalausweiskopie)

 

保険証のコピー(Krankenversicherungskartekopie)

 

ドイツで滞在許可を得るためには、
ドイツの健康保険への加入が必要です。

 

日本の保険会社の保険や旅行保険はビザ取得のためには無効なこともあります。

 

例えば現地採用の場合、
月平均収入が4800€までは、
法定健康保険(Gesetzliche Krankenkasse)に義務加入します。

 

 

銀行カード、もしくは銀行情報のコピー(Bankkartekopie / -information)

 

Sozialversicherungsausweiskopie(社会保険証のコピー)
12桁のSozialversicherungsnummerが必要 。

 

社会保険番号は年金番号(Rentenversicherungsnummer)とも呼ばれていて、
この番号に年金記録が紐付けられます。

被雇用者になると社会保険料を払うことになるためこの番号が必要になります。
専業主婦でも、 子どもが生まれた場合にこの番号を自動的に取得します。

雇用主は被雇用者が初めて仕事に就くことを知っている場合、
健康保険会社またはミニジョブセンターに申請をします。
その後、ドイツ年金保険(Deutsche Rentenversicherung)から 社会保障カードが送られてきます。

 

Persönliche Identifikationsnummer

これは11桁の数字で日本のマイナンバーのようなもので、
成年・未成年に関わらず個人に割り当てられています。
ドイツに住民登録をすれば、
また子供が生まれたときにも必ず郵便で送られてきます。

 

税識別番号(Steuer-Identifikationsnummer(Steuer-ID))

ドイツで住民登録をしている人すべてに割り当てられる11桁の数字です。

こちらも仕事の有無や納税者、
非納税者にかかわらず、
また、大人だけではなく、
子どもにもこの番号が割り当てられます。

通常住民登録をしてから1~3週間で郵送で届きます。

2013年1月より所得税カード(Lohnsteuerkarte)は廃止され、
電子処理の源泉給与税控除証
(Elektronische LohnSteuerAbzugsMerkmale (ELStAM))
に置き換えられました。

至急税識別番号が必要など、
税務署に直接行く必要がある場合は、
こちらのサイトで管轄の税務署を調べることができます。

 

umzihen.deのサイト

税務署だけでなく他の役所も見つけることができます。

 

Nachweis der Elternschaft wenn nicht aus Kinderfreibetrag ersichtlich

– wegen Pflegeversicherungszuschlag für Kinderlose.

児童手当から確認できない場合の親子証明-子供がいない人の介護保険追加支払いのため

 

Urlaubsbescheinigung des letzten Arbeitgebers

前雇用者からの休暇証明書(前職で同年に取得した休暇日数の証明/ 必要な場合)

 

Unterlagen für vermögenswirksame Leistungen

従業員貯蓄制度に関する書類(利用していて必要な場合)

 

労働許可証 のコピー/期限(Arbeitserlaubnis)

永住許可書がない方で労働許可書がある方のみ
在住許可/期限 または、無期限滞在許可 (Aufenthaltserlaubnis / Niederlassungserlaubnis)
在住許可証(Aufenthaltstitel)に記載してあります。

 

交通費支給の場合は定期代金額確認 (必要な場合)

就職活動中からこれらの書類を準備できていればあわてずに済みますし、
さくっと会社に提出できれば最初から好印象間違いなしですね。

 

ドイツで就職 その③ 応募の際に必要な書類について(履歴書・勤務証明書(Arbeitszeugnis)など)

ドイツで就職 その③ 応募の際に必要な書類について(履歴書・勤務証明書(Arbeitszeugnis)など)

今日はドイツで求人応募する際に必要な書類について書いていきます。

基本必要なのは以下の書類です。
郵送する場合は全ての書類をアプリケーションフォルダー(Bewerbungsmappe, Klemmhefter)
に①~⑤の順番でファイルして送ります。

① カバーレター(Anschreiben)
② 表紙(Deckblatt)
③ 履歴書
 (Lebenslauf / 日・独の場合もあれば日・英であることも)
④ サードページ(Die Dritte Seite)
⑤ 各種証明書(勤務証明書 (Zeugnisse)、
  語学の能力や資格を証明する書類など/ 必要に応じて)
  (Referenzen, Zertifikate, Arbeitsproben)

 

 

① カバーレター(Anschreiben) / ③ 履歴書


ドイツ語の①と③の書き方については
「ドイツ 履歴書」
で検索すると書き方が詳しく掲載されているサイトが複数あるのでここでは省略します。

例えば学歴や職歴を新しいほうから書いていくなど、
日本の履歴書とは異なる点がありますので、
気を付けて書いていきましょう。



性別、
未婚か既婚か、
扶養家族の有無、
宗教などは
履歴書に記載しないことになっています。

また写真は日本の履歴書よりも重要です。
フォトスタジオでプロに撮ってもらうことをお勧めします。
ドイツ人はかなり気合の入った写真を添付してきます。

そんな中で明らかに自撮りだとわかる写真や、
バカンス中の写真を切り抜いたものなどですと(実際にありました!)
やはりマイナスイメージになってしまいます。

ただ自分の経歴をつらつらと書くのではなく、
応募する企業とポジションに合った書き方をするのが重要です。

ですので応募するごとに履歴書の内容(焦点)を変える必要が出てくることもあります。
自信がない場合は、
人材派遣会社に登録する場合は担当の方に相談してみるのもいいと思います。

② 表紙(Deckblatt)

 

日本では提出しない書類ですが、こういった感じのものです。

Deckblatt 見本①             















 



Deckblatt 見本②             
                             

 

 

 

 

 

 

 

 

 



通常カバーレターの後に続くのが表紙(Deckblatt)です。
ただし、任意の添付書類で、必須ではありません。
主に、写真、名前、連絡先を記載するものとして使用されます。

概してまず応募者の視覚的な印象を際立たせるために作成します。
この書類はとてもドイツ的なので日系企業に応募する場合は必要ないかもしれませんが、
一目で応募者の基本情報がわかるので、
雇用する側としてはとても便利な書類ですし、
自分のことをもっと印象付けることができるかもしれません。

 

 

④ サードページ(Die Dritte Seite)

 

いわゆる「3番目のページ」と呼ばれるこの書類は、
様々な書類を割り当てることができ、
応募者のモチベーションと実績を明確にするための追加書類です。

基本的に、これらは履歴書に含まれている内容ですが、
⑤各種証明書(勤務証明書や資格証明書)には属さない書類です。
必要に応じて作成しましょう。知っておくべき5つの最も一般的な内容は以下の通りです。

1. 志望動機 / 追記(Motivationsschreiben)

①のカバーレターは通常A4一枚に収める必要があるので、書き足りない場合に作成します。


2. ショートプロフィール(Kurzprofil)

応募者のすべてのスキルと資格がここに明確にリストアップされています。
オプションで 応募者の目標と将来のキャリア計画に関して2〜3行で書くこともできます。

3. プロジェクトリスト(Projektliste)

自分が関わったプロジェクトの期間、役割、タスクなどについて説明します。

4. サンプル (Arbeitsproben)

デザイナーなどクリエイティブな職種への応募の場合、
通常は雇用側からサンプル提出を求められますが、
任意で提出し、自分の能力をアピールすることもできます。

5. 出版物・レベルアップ研修( Publikationen/Weiterbildungen)

特に理系の場合、
専門誌に自分の記事が掲載された場合、
著者/共著者、日付、媒体、ページ番号などを記載します。

また修了したレベルアップ研修に関してA4で1ページを埋めることができる場合はこちらに書きます。



⑤各種証明書(勤務証明書 (Zeugnisse)、語学の能力や資格を証明する書類など / 必要に応じて)
(Referenzen, Zertifikate, Arbeitsproben)


既にドイツでの就労経験がある方は⑤勤務証明書(Arbeitszeugnis)を提出します。

企業側はこの証明書を出す義務がありますので、
退職後すぐにもらっておきましょう。

もしもらっていない場合でも、
契約書に記載されていなければもっと後から請求することも論理的には可能だそうですが、
判例では6か月から3年後に失効してしまうそうなので、
やはり早めにもらっておくに越したことはないですね。

これがないことはドイツではもう既に異常事態です!!
よっぽど勤務態度が悪かったんだと思われてしまい、
転職時にはかなり不利になります。

また証明書を受け取ってから最大10か月間修正を要求することができます。

私は作る側でしたので、
自分のを作ってもらった際には目を皿のようにして内容チェックしましたよ!

知る人が読めばすぐにわかる定型文があり、
実は評価が低くても、
褒めているように見える書き方がしてあります。

ちなみに証明書の内容で雇用者と被雇用者がもめることがよくあるそうで、
年に3万件ほどの訴訟があるそうです。

⑤は他にも例えば
・語学テスト(Sprachtests)
・卒業証明書 (Hochschulzeugnisse)
・インターン証明書(Praktikumszeugnisse)
・滞在許可証(Aufenthaltstitel)

などの証明書があれば提出します。

 

面接時に禁止されている質問


先ほど書いたように履歴書に記載しない情報がありますが、
面接を受ける際に雇用者が私生活について質問する時に禁止されている項目もあります。

雇用者が許容範囲外の質問をした場合、
応募者はこれに対して虚偽の回答をしてよいことになっていて、
雇用者はそのことによって後に応募者に対して不利益を与えてはいけません。

例えば
・妊娠しているかどうか
・応募者が女性の場合、子供が欲しいかどうか
・宗教的所属、政治思想
・犯罪歴
・病気であるかどうか

などがそうです。



以上、日本とは異なることが多いので、しっかり確認することが必要ですね。

ドイツで就職 その② 日系企業への就職活動方法

ドイツで就職 その② 日系企業への就職活動方法

今日はドイツでのお仕事の探し方について書こうと思います。

私がドイツに来た頃には2,3社しかなかった日系の人材派遣会社ですが、
ここ数年でぐっと増えていますね。

また日本からでもビデオチャットを使って面接ができますし、
前よりも日本からドイツへの就職の可能性も増えていると思います。

求人を探す方法として

1.求人広告を見る
2.人材派遣会社に登録する
3.直接企業に履歴書を送る(Initiativbewerbung)


の大きく3つがあります。

 

1.求人広告を見る


求人広告が掲載されているサイトを紹介します。

デュッセルドルフ日本商工会議所求人ページ

こちらのサイトでは求職者登録をすることもできます。

デュッセルドルフ日本商工会議所求職者登録ページ

DJW 日独産業協会


ドイツニュースダイジェスト

AHK 在日ドイツ商工会議所


MixB

ドイツ掲示板 求人サイト

※「MixB」と「ドイツ掲示板」の二つはアルバイトの求人が多いです。

Indeed


Linkdin

※IndeedとLinkdinは日系企業でのお仕事よりもドイツ企業での日本人ポジション募集のほうが多いです。

 

2.人材派遣会社に登録する


日系の人材派遣会社は日本企業の駐在員事務所が多いデュッセルドルフに集中していますが、
他の都市の求職も扱っています。

JAC Recruitment Germany ジェイ エイ シー リクルートメント

Fischer HRM フィッシャー(日本デスク)


Career Connections GmbH キャリアコネクションズ


Career Management キャリアマネージメント


ADENI

PSE Personal Service Experts GmbH

Kienbaum Executive Consultants GmbH キーンバウム

 

 

3.直接企業に履歴書を送る(Initiativbewerbung)


多くの日系企業が日本商工会議所の会員となっているので、
会員企業リストを見て自分が興味がある企業があるか検索してみます。


デュッセルドルフ日本商工会議所 会員企業リスト

フランクフルト日本法人会 会員リスト

ミュンヘン日本人会 会員企業リスト

以上の3つを同時進行で行っていきます。

各サイトの求人広告に目を光らせ、
人材派遣会社にはすべて登録しておけば、
自分に合ったお仕事の求職があればお声が掛かります。

また専門職の方、
具体的に興味がある企業、
就職したい企業があれば
直接履歴書を送って熱意を伝えてみるのもよいと思います。

ドイツでは即戦力が必要とされているので、
就労経験がない方が就職するのは正直難しいです。

ですが、まずはワーキングホリデーを使って短期で働いてみるのもいいですし、
新卒でも雇用してくれるポジションがもしかしたらあるかもしれないので、
日本から就職活動をしてみて、
どうしてもドイツで就職したい熱意を伝えてみるのもいいかもしれません。

 

日本人駐在員の妻の就労


最後にご参考までに日本人駐在員の妻の就労について。

せっかくドイツに来たのだから働いてみたい!
と思う方もいらっしゃると思います。

以前は就労できないことになっていましたが、
滞在許可法第27条5項の2013年10月の改正により、
家族用滞在許可(配偶者)を与えられるもの若しくはそれを既に持つものには如何なる、
つまり自営業も含む就業が認めらるようになりました。
滞在許可法は連邦法なので、
ドイツ全土で適用されます。
また本規定については、
形式上現存の滞在証に「就業は外人局の要認可」や、
「就業禁止」と記載されていてもそのまま法定にて適用されます。

私が人材派遣会社に勤務していた時に実際に日本人駐在員の奥様で派遣で就労されていた方がいらっしゃいましたし、
就職活動をされている方もいました。

派遣や短期の契約で働ける可能性もあるので、
ドイツで働いてみたい方はぜひチャレンジされてみてはと思います。

ドイツで就職 その① 私の場合

ドイツで就職 その① 私の場合

私の経歴・職務経験

 
私がドイツに来たのは30代前半で、
ドイツ語は
「これはプールです。」
が言えるくらいのレベルからのスタートでした。

まずはドイツ語の語学学校に1年間通いました。
思えばこのころが一番しんどかったかもしれません。
早くドイツ語が上手くならないと!
というプレッシャーと毎日闘っていました。
 
 

ドイツでの最初の就職・日系ロジスティック企業

 
その後日系のロジスティック会社に就職。
4年勤務。

求人情報は日本領事館に直接行き、
求人一覧ファイルを閲覧させてもらって見つけました
(15年ぐらい前のことなので今でのこのサービスが行われているかはわかりません)。

ドイツでの職務経験なし、
ドイツ語もまだ未熟、
ロジスティック企業で働いた経験もなし、
とないものづくしでしたが日本での会社員経験10年と
英語とスペイン語が話せたのがプラスになったようです。

社長がなかなか厳しい方で、
試用期間6か月の間は毎週のように貿易専門用語のテストを受けさせられたり、
法律をドイツ語から日本語に訳するよう依頼されたりと要求が高く、
とにかく必死で答えていました。
びしばしとしっかり鍛えてもらったのは今思うとありがたいことです。

その後妊娠・出産のため3年の産休を取得。
復帰を目指していましたが、
諸処の事情で退職せざるを得なくなりました。

4年後に第二子を出産し、
子供が2歳になる前ぐらいに再就職を考え、
そんなに簡単には見つからないだろうということで
まずは単発の見本市のブースアシスタントのお仕事を四日間しました。

6年ぶりの仕事&立ちっぱなしですごく疲れましたが、
見本市のお祭り的な雰囲気もあってものすごく楽しかったです
(その後マッサージ店に駆け込みましたが!)。
 
 

見本市 (Messe)でのお仕事

 
お子さんがまだ小さい方には自分の居住地の近くで開催される見本市で単発的に働く、
というのも一つの考えかもしれません。
働く勘を取り戻すにもいい経験でした。

私は日系企業の「アンサンブラウ」にブースアシスタントとして登録をしました。
 
 
 
アンサンブラウのサイト


 

再就職先・日系人材派遣会社

 
その後すぐに日系の人材派遣会社にパートタイムで就職。
4年勤務。
小さな会社だったので営業以外の事務関連を全て担当していました。
この時の業務経験(経理等)が今の自営業の仕事の中でかなり生かされています。

派遣会社を退職後は最初少しだけ普通に就職活動をしました。
その後自営業者になることを決め、
まずは起業アドバイザーと会ったり、
情報収集を行いました。

子供の夏休みが終わってから本格的に準備を始め、
起業したのが3か月後、
退職してからだと7か月後になります。

現在は時間に換算するとフルタイムではなくパートタイム、
一日平均5,6時間ぐらい働いています。

以上ざっと私の職務経験を書いてみました。

少しでも参考になれば嬉しいです。

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